【3月4日 AFP】英国のウィリアム王子(Prince William)とキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)は3日、アイルランドへの公式訪問を開始した。日程は3日間。英王室の主要メンバーによるアイルランド公式訪問は、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)による2011年の訪問以来となる。

 ウィリアム王子夫妻は同日、首都ダブリンにあるマイケル・ヒギンズ(Michael D. Higgins)大統領公邸内の庭園で「平和の鐘(Peace Bell)」を鳴らした。この鐘は、「厄介事(The Troubles)」と呼ばれた30年にわたる北アイルランド紛争を終結させた「聖金曜日の合意(Good Friday Agreement)」10周年を記念して、2008年に除幕された。

 夫妻はまたアイルランド独立のために戦い、主に英国による攻撃で命を落とした人々を追悼する市内の庭園「ガーデン・オブ・リメンブランス(Garden of Remembrance)」を訪問。「歴史から得た教訓を決して忘れることはない。輝かしい未来を共につくり上げていく」と書かれたメッセージを花輪に残した。

 アイルランドでは数週間前に総選挙が行われ、同国と北アイルランドの再統一を最重要政策に掲げる民族主義政党シン・フェイン(Sinn Fein)党が躍進した。

 シン・フェイン党は、かつて北アイルランドで英国からの独立を目指し、数十年にわたって戦ったカトリック過激派アイルランド共和軍(IRA)の政治部門の流れをくむ。一方、北アイルランドの国家元首はウィリアム王子の祖母であるエリザベス女王だ。

 また英国は1月31日に欧州連合(EU)から離脱したが、英国の一地方である北アイルランドとEU加盟国のアイルランドの境界をめぐる問題は、離脱プロセスにおける主要な争点となった。(c)AFP/Joe STENSON