【3月3日 AFP】米当局は2日、中国国営メディア5社について、米国内での活動を認める中国人従業員数を半数近く削減する方針を発表した。新たな上限は今月13日から適用される。

 今回の措置について米当局は、双方の国内で活動する報道関係者数のバランスを取るためだと説明しているが、2週間前には中国で米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の記者3人が国外退去を命じられており、その報復措置ともみられている。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は声明で、中国で活動する「米国人やその他の外国人ジャーナリストに対する厳しい監視や嫌がらせ、威嚇がますます強まっている」「われわれは中国政府に対し即時、国際公約を守り、報道の自由を含めた表現の自由を尊重するよう求める」と述べた。

 米国務省職員によると、米当局は先月、中国メディア5社を外交使節団として再定義し、米国内での雇用を認める中国人従業員数を160人から100人まで削減する方針を示した。

 余剰人員となる60人について、米当局はあからさまに国外退去を命じてはおらず、法的には他の就職先を探すことはできるが、大半は国外退去を余儀なくされるとみられている。

 当局によると、該当する5社以外の報道機関で働く中国人には影響はない。また中国国営メディアが中国国籍以外の従業員を雇用することは禁止されない。

 中国の張軍(Zhang Jun)国連(UN)大使は記者会見で米当局の動きを非難。「米当局が、中国からやって来るジャーナリストらの仕事への介入に踏み出すのは適切でないとわれわれは考える」と述べた。

 米ニューヨークを拠点に活動する「ジャーナリスト保護委員会(Committee to Protect Journalists)」も失望を示し、米当局は「危険な報復合戦」を進めており、それによって「新型コロナウイルスによる危機のさなかに情報の流れを阻害する可能性がある」と警告した。(c)AFP/Shaun TANDON