■2100年までに49.5%が消滅

 ブドゥカス氏ら研究チームは砂浜の消失速度を評価するため、1984年以降の30年分の衛星画像データに海岸線の動態を当てはめた。研究チームはこの画像データを用いて、二つの異なる気候変動シナリオの下で発生する今後の浸食状況を予測した。

 RCP8.5と名付けられた「最悪のシナリオ」では、炭素の排出が弱まることなく続き、地球自体が人間の活動とは無関係に、大気中の温室効果ガス濃度を引き上げ始めることが想定されている。これは例えば、永久凍土からの放出などが考えられるという。

 RCP4.5のシナリオはRCP8.5よりも深刻度は低く、人類が地球温暖化を約3度に抑えることを前提としている。だが約3度というのは、2015年に採択された地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の目標である「2度未満」をはるかに上回っている。

 RCP8.5のシナリオでは、2100年までに世界の砂浜海岸線の49.5%が消滅するとされているが、距離にすると13万2000キロ近くに相当する。また、2050年までに4万キロ分の砂浜海岸線が失われると考えられている。

 RCP4.5のシナリオは実現可能性が高まっているが、これにおいても2100年までに9万5000キロに及ぶ海岸線から浸食により砂が流されることによって、海岸線の大半が向こう30年以内に消失すると考えられている。(c)AFP/Marlowe HOOD