【3月3日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は、中国の大気汚染が激減したことを示す衛星画像を公開した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞に「部分的に関係している」という。

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 NASAと欧州宇宙機関(ESA)の衛星が収集したデータを解析した科学者らによると、二酸化窒素(NO2)汚染の減少はまず、同ウイルス流行の中心地である武漢(Wuhan)付近で始まり、その後中国各地に拡大した。

 NO2濃度を比較した地図では、武漢などで厳しい隔離措置が取られる前の1月1~20日と2月10~25日の間で顕著な濃度低下があったことが示されている。

 NASAのウェブサイト「アース・オブザバトリー(Earth Observatory)」には、「この変化は、コロナウイルスの感染拡大を受けての経済活動の停滞に、少なくとも部分的に関係していることを示す証拠がある」と記されている。

 中国当局は、ウイルスの封じ込めを目指して徹底した措置を講じており、移動制限や工場の一時閉鎖、また流行の発生地となった主要産業地帯の湖北(Hubei)省の隔離に踏み切っている。

 NO2は車や発電所による化石燃料の燃焼に伴って発生し、ぜんそくなど呼吸器系の問題を引き起こす恐れがある。

 NASAの研究員は、「特定の事象によって、これほど広範囲で劇的な減少が確認されたのは初めて」と話している。NO2の減少は2008年の世界金融危機の際にも数か国で確認されていたが、減少ペースは緩やかだったという。(c)AFP