【3月3日 CNS】中国・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の武漢市第一医院遠隔診察センターで2月27日夜、70歳の新型コロナウイルスの肺炎の重篤患者の気管切開手術が行われ、無事に成功した。

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 執刀医は江蘇省(Jiangsu)湖北支援医療隊の一員として武漢に来ている江蘇省人民医院救急医学センターの喬莉(Qiao Li)主任だ。医療関係者が手術の実況中継を見守り、部屋の中は互いの息の音が聞こえるほど静かだ。

 気管切開手術は、通常であれば難しい手術ではないが、新型コロナウイルス肺炎の患者に施術する場合、医療関係者にとって難易度ははるかに高い。防護服に防護ゴーグル、さらに内側が正圧となっているずっしりと重いヘッドセットを身に着けると、思うように体を動かせなくなる。

 患者は必要な酸素濃度を維持することはできなくなっており、何回もの診察と確認により、医療チームは気管切開手術を選択。今回選択したのは「経皮的気管切開」法で、傷は小さくて済むが、手術の正確度は高レベルの技術が求められる。

 気管が切開された一瞬、大量の分泌物がエアロゾルとなって噴出する可能性があり、医療関係者にとっては、感染のリスクが極めて高い。遠隔診察センターの中で、みな、緊張した面持ちでディスプレーを見守った。

 喬医師と医療関係者らは、わずか5分で気管切開手術の中の最も重要な処理を終わらせた。手術完了後、患者の気道閉塞(へいそく)の症状は緩和され、動脈の酸素濃度は80%から100%へ改善し、生命の危険を脱した。

 手術が終わると、診察室の中には拍手が鳴り響いた。手術は手早く正確に行われ、患者はほとんど出血もなかった。喬医師は「ウイルスとの闘いの中心は武漢です。私たちが武漢でやる一番大切な仕事は、重症者の命を救うことです」と語った。(c)CNS-現代快報/JCM/AFPBB News