【3月3日 Xinhua News】中国が国を挙げて取り組んでいる新型コロナウイルスによる肺炎の対策に、ビッグデータが活用されている。モニタリングデータの分析やウイルスの追跡、治療、予防、資源の配分など分野は多岐にわたる。

 ビッグデータは人の移動やその傾向を監視することにより感染拡大を制御、防止する上で極めて重要な役割を果たしている。

 ▽患者を特定する

 中国重慶市(Chongqing)では、市民らがビッグデータを活用した地図を使い、付近に感染が確認された患者がいるかどうかや患者の移動履歴を調べることができる。この技術が市民の日常生活における感染予防に役立っている。

 天津市(Tianjin)では、地元当局がビッグデータの解析を促進するため、登録システムを使って帰郷者の情報を収集している。

 鉄道当局は大量の乗客の流れを管理し、感染拡大の防止と制御にビッグデータを役立てている。

 鉄道の公式予約サイト「12306」は感染拡大後、緊急対応システムを導入した。同サイトを運営する中国鉄道科学研究院の朱建生(Zhu Jiansheng)氏は、「実名での切符購入によって得られたビッグデータを利用し、感染が確認された乗客に濃厚接触したかどうかを調べることのできる有益な支援を提供している」と述べた。

 12306のシステムは20年分の乗客データを収集しており、日に数百テラバイトのデータを処理している。多い時で1日に延べ1000億人超がサイトを利用するという。 

▽政府の的確な意思決定にも

 ビッグデータは政府の意思決定にも役立っている。

 遼寧省(Liaoning)にある国有送電会社、国家電網の大連支社では、ビッグデータやクラウドコンピューティング、人工知能の技術を活用し、自社や政府が企業の生産再開状況を把握するのに役立つ消費電力指数を作成している。

 同社は、企業の電力消費量の分析やさまざまな産業の予測モデルを構築することで、関係部門が的確で賢明な決定を行えるよう支援している。

 広東省(Guangdong)は、QRコードを使った健康情報システムを導入。携帯電話に表示されるQRコードをスキャンすることで、利用者の健康状態が即座に確認できる。

 健康状態に関する情報は、広東省に入る際や公共施設の訪問時に収集されたデータを基にしており、疾病管理部門によって確認される。

 広東省のビッグデータセンターの責任者は、同省で営業や生産を再開する企業が増えるのに伴い、人材の需要も高まると話した。

 同氏によると、出稼ぎ労働者を安全に帰郷させ、登録や報告のプロセスを効率化するため、四川省(Sichuan)や湖南省(Hunan)など他省と健康情報を共有するシステムを構築したという。「出稼ぎ労働者が広東省に入る際にシステムに登録すると、ビッグデータセンターが故郷で収集されたその人の健康情報や関連情報を連携させ、QRコードを作成する」と同氏は語った。(c)Xinhua News/AFPBB News