【3月2日 AFP】欧州連合(EU)の裕福な小国、ルクセンブルクは先月29日、世界で初めて公共交通機関の利用を無料化した。同国では非富裕層の労働者を支援するとともに、交通量を削減するための取り組みが行われている。

 他国の複数都市で交通機関の一部無料化がすでに行われているが、ルクセンブルクの交通・公共事業省によれば、全国でこのような決定を適用するのは同国が初めてだという。

 交通機関の無料化は世帯約40%に影響を与え、1世帯当たり年間100ユーロ(約1万2000円)前後の節約になると推定されている。

 一方で、交通機関で働く人々は、無料化が職の確保にどう影響するか懸念している。

 駅で切符を販売する男性従業員は、自分の職に何が起きるか「まだ分からない」と述べ、「公共交通機関で働く全員が心配している。まだはっきりと分かっていない」と語った。

 券売機は徐々に駅から撤去される予定だが、国際列車や国内を走る列車の一等車座席は引き続き有料のため、切符売り場は残される。

 今回の無料化の措置は、渋滞緩和の取り組みの一環として実施された。ルクセンブルクでは自家用車が最もよく使われる移動手段であり、通勤方法の47%、レジャー目的の移動の71%に自家用車が使用されている。(c)AFP/Catherine KURZAWA