【3月2日 AFP】戦火に苦しめられてきたアフガニスタンから駐留米軍が撤退準備を進めており、旧支配勢力タリバン(Taliban)の復権に向けた扉が開かれつつある。そのような状況の中、この国の女性たちは平和を追い求めて、必死に勝ち取った自由を失うのではないかと恐れている。

 反政府武装勢力タリバンは、2001年に米国が侵攻するまで約5年にわたり政権を掌握していた。タリバン政権はシャリア(イスラム法)の厳格な解釈でアフガニスタンを強権的に支配し、女性たちは事実上、囚人のような生活を強いられた。

 米国は先月29日、タリバンとの画期的な和平合意に署名した。アフガニスタンの女性たちは、武力衝突の終結を心の底から願っているが、それと引き換えに高い代償を払う事態になることを恐れている。

■家族を養う女性たち

 タリバン政権下では、女性は教育を受けることや働くことを禁じられていた。今日、専門職に就くアフガニスタン女性らはこれらの権利を必死で守ろうとしている。

 西部の街ヘラート(Herat)で外交販売員として働くセタラ・アクリミ(Setara Akrimi)さん(32)は「平和が訪れ、タリバンが人々を殺さなくなればとてもうれしい」と述べつつも、「でも、タリバンが昔の考え方のまま政権に復活するとしたら心配だ」と言う。

 アクリミさんは離婚し、3児を育てる母親だ。「タリバンに家で座っていろと言われたら、家族を養えなくなってしまう」「私みたいな女性がアフガニスタンには大勢いる。私たちは皆、心配している」

 首都カブールを拠点とする30代の獣医師、タヘラ・レザイ(Tahera Rezai)さんは「タリバンの復活は女性の働く権利や自由、自立に影響する」と考える。「彼らの思考は変わっていない」と、レザイさんはAFPに語った。

 タリバンが政権に復帰したら、たとえ弱体化していても、自分の将来に悲観的にならざるを得ないと話す。「私のように働く女性にとって状況は厳しくなる」