【3月1日 AFP】第2次世界大戦(World War II)時に伝説的存在となった旧ソ連の戦車「T34」30台が、東南アジアの国ラオスから壮大な旅を終え、ロシアで元の姿に復元されている。

 このT34がラオスに残っていることをロシアが知ったとき、一部はまだラオス軍によって使用されていた。ロシアのセルゲイ・ショイグ(Sergei Shoigu)国防相は昨年、ラオスを訪問した際に戦車の引き取りに合意した。

 現在はロシア北西部の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)郊外の専門修理工場で、技術者ら200人以上がカーキ色の戦車の復元作業に当たっている。

 作業は3月末までに完了する見通しで、連合軍のナチス・ドイツ(Nazi)に対する勝利から75年目を迎える5月9日、赤の広場(Red Square)で行われる大規模な軍のパレードに特別参加する予定だ。この式典にはフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領をはじめ各国指導者も出席を予定している。

 強力で操縦性の優れたT34はソ連軍の主力として、とりわけ第2次世界大戦では大きな役割を果たした。1940年から1946年までの生産台数は5万8000台を超え、ソ連のナチス・ドイツ撃破の鍵になったとされている。

 だが今やロシアでこの戦車が珍しい存在となったのは、多くが第2次世界大戦後に改造されたり廃棄されたりしたからだ。そのためロシアは戦車の引き取りを決定。極東のウラジオストク(Vladivostok)市までを海路で、その後は列車で広大な国土を横断して運ぶことにした。

 ラオスから帰還した戦車は、1950年代に当時ソ連陣営だったチェコスロバキアで建造された。ラオスはこの戦車を1987年に共産主義の同盟国ベトナムから取得したとされる。ベトナム戦争では米国との戦闘に使われていた。

 修理工場長によると、戦車が到着したときの「状態は技術的に嘆かわしいほど」で、作業員らは車内に鳥の巣まであるのを発見したという。

 今回ラオスは軍事協定の一環として、ロシアから現代の戦車を取得した。(c)AFP/Marina KORENEVA