【3月10日 東方新報】中国の春節(旧正月、Lunar New Year)期間中に爆発的な流行となった新型コロナウイルスによる肺炎は、世界のサプライチェーン(供給連鎖)に影響をもたらした。経済への影響がこれ以上大きくならないよう、在中国の外資系企業は感染対策をしっかりと行うことを前提とし、相次いで経営を再開している。

 商務部は2月21日、山東省(Shandong)の韓国系自動車部品企業32社が15日前に全て再開したことを明らかにした。これにより、世界の自動車企業はほっと一息をつくことができた。一部の外資企業は、中国製造の部品が不足し、生産の継続が困難になりつつあった。

 中国の企業は2月10日前後に、感染対策をしっかりと行うことを前提とし、経営再開を果たした。現在、湖北省(Hubei)を除いた30の省・区・市の企業は経営を再開している。上海、山東、湖南(Hunan)などの重点外資企業の再開率は80%を超えている。中国政府の対応方針は明確で、感染が特に深刻な地域あるいはリスクが比較的大きい地域の感染対策を強化し、深刻でない地域では、対策と経済・社会の秩序回復を同時に求めるとしている。

 その中で、電気自動車大手の米テスラ(Tesla)上海ギガファクトリーは2月10日に経営再開し、最も早く経営を再開した外資企業となった。約2500人が働く工場では、従業員用の十分な量のマスクとゴーグルなどの装備・物資を準備し、作業エリアは消毒を行い、感染対策と経営再開の両方を満たしている。

 中国は、世界の産業チェーンの中で重要な位置を占めている。米マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)の2019年度報告書によると、中国の世界経済への依存度は下降し、世界の中国経済に対する依存度は逆に上昇しているとの結論を示している。世界で唯一の全ての種類の工業を有する国家として、中国のサプライチェーンの優位性は明らかで、特に家具、日用品、ハイテク部品、紡織服装などの産業は、その多くを中国に依存していることがデータと事実によって証明されている。

 感染対策が功を奏しつつある現在、在中国の企業が経営を再開することは、中国のためだけではなく、全世界の産業チェーンの安定稼働と共通の利益を守るためといえる。(c)東方新報/AFPBB News