【3月3日 CNS】毎年、春節(旧正月、Lunar New Year)の頃は、鶏卵が最も売れる季節だが、今年は新型コロナウイルスによる肺炎の影響で、中国・江蘇省(Jiangsu)泗洪(Sihong)中洼居村(Zhongwaju)の村人が生産した300万個の卵が売れなくなった。

 村の幹部、張守強(Zhang Shouqiang)さんは、村人の悩みを目の当たりにして頭を抱えた。「卵が一番売れるのはこの時期です。餌を上質なものにかえたり、植物油を加えたりして鶏にたくさん卵を産ませようと工夫をするのですが…。今年は今日までまだ3割しか売れていません。まだ300万個の卵が売れ残っていて、もう家の中に10日以上置いてあります。1か月以内に売れないと、村の養鶏家400人が破綻し、30の養鶏場は倒産してしまいます」

 さらに頭が痛いのは、100万羽の鶏は毎日60万個の卵を産み続けるため、増え続ける新しい卵の山だ。良い方法が思いつかず、張さんは村人らにまず、鶏に卵を産ませない方法を考えて、損を減らそうと呼び掛けた。

 村人は特に良い方法も思いつかないため、手当たり次第に試すことに。ロックンロールの音楽を聴かせる、鶏小屋の暖房を強めて室内温度を高くする、照明を一晩中つけたままにして鶏を寝かせないようにする…などだ。しかし、鶏に卵を産まないように我慢させることは不可能で、行き詰まってしまったという。

 2月になると、張さんはインターネットの販売ルートで鶏卵を売れないかといちるの望みを抱き、試しに阿里巴巴(アリババ、Alibaba)と連絡を取ってみた。中洼居村の困難を知ると、アリババ傘下の天猫(Tmall)のサービス責任者は即座に張さんに「愛心援農」プロジェクトチームを紹介した。

 責任者の話によると、泗洪の鶏卵のように、感染症の影響で売れなくなった農産品は非常に多いため、「援農」チームは人工知能(AI)を使った「良品推薦」の自動音声サービスチャネルを作り、在庫農産品のオンライン販売を推進している。泗洪の鶏卵は2月15日にオンラインショップに登場し、同日中に900件の成約となり、3日間で10万個を超える販売が実現した。

 鶏卵のほか、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)の「皇帝柑」「丹東イチゴ」「安岳レモン」「雲南バラ」など感染症のために売れなくなってしまった生鮮品も、2000万人のユーザーにオンラインで紹介されたという。(c)CNS/JCM/AFPBB News