【2月29日 AFP】米大リーグ(MLB)機構と同選手会(MLBPA)、および世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の間で結ばれた新たな協定が28日に発表され、東京五輪の出場を目指す米国代表チームに勢いをもたらす内容であることが判明した。

 MLBの公式ウェブサイトで公表された協定の内容によると、残り2枠となっている野球の五輪出場権獲得を目指す米国代表チームやライバルの代表チームに、MLBのロスター40枠に含まれている選手の出場が認められることになった。MLBでは各球団のオーナーとリーグ関係者が五輪期間中のシーズン中断に強く反対しており、今回の協定はそうした中でタレントをそろえる最善策となっている。

 来月22日から26日まで米アリゾナ州で8チームがしのぎを削る米大陸予選をはじめ、台湾で最後の1枠を争うインターコンチネンタル予選、そして東京五輪に向けて、米国代表はアクティブロスターに入っていない若手有望株やベテラン選手に代表の資格が与えられる。

 MLBの各球団には所属選手を代表チームに派遣する義務はないものの、特別な機会には認めるケースが多くなっている。これまで東京五輪の出場が確定しているのは日本、韓国、メキシコ、イスラエルとなっており、中でも韓国と日本は、金メダルを目指してトップ選手を派遣するためにシーズンを中断する。

 昨年11月に開催された世界野球WSBCプレミア12(2019 WBSC Premier 12)で、メキシコに敗れて東京五輪の出場権を逃した米国は、来月の大陸予選でドミニカ共和国、プエルトリコ、ニカラグア、ベネズエラ、カナダ、コロンビア、そしてキューバと出場権を争う。

 大陸予選で1位になれば五輪の出場枠を確保する一方で、2位と3位のチームは4月1日から5日まで台湾で行われる最終予選に回り、中国とオーストラリア、そしてオランダを加えて残り1枠を争うことになる。

 米国チームは、ロサンゼルス・エンゼルス(Los Angeles Angels)の傘下でプレーするジョー・アデル(Jo Adell)や、シカゴ・ホワイトソックス(Chicago White Sox)の下部チームに所属するアンドリュー・ボーン(Andrew Vaughn)といった有望株を加えることができる。両選手は昨年もほとんど欠場することなく代表チームでプレーした。

 一方、ライバル国も選手の補強が可能となった。ドミニカ共和国はタンパベイ・レイズ(Tampa Bay Rays)に所属する18歳の有望株ワンダー・フランコ(Wander Franco)遊撃手と、アトランタ・ブレーブス(Atlanta Braves)でプレーするクリスチャン・パチェ(Cristian Pache)外野手を加えることができる。

 カナダは、サンディエゴ・パドレス(San Diego Padres)の右腕カル・クアントリル(Cal Quantrill)投手と、ジョシュ・ネイラー(Josh Naylor)外野手の派遣を要請するとみられている。(c)AFP