【2月29日 Xinhua News】中国・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)で既に10年以上暮らしている嶋田孝治さん(72)は、新型コロナウイルスの感染による肺炎の予防・抑制活動に協力し、同市江夏区(Jiangxia)法泗街聯盟村に滞在している。同村での滞在は26日時点で、1カ月以上になる。

 嶋田さんは2010年から、武漢大学(Wuhan University)と華中師範大学(Central China Normal University)のそばに庶民的なカレー店を開いている。先週、嶋田さんは中国人従業員に頼んで、カレー店で春節(旧正月、Lunar New Year)用に備蓄していた食料や食用油を近所で必要としている人に届けた。

 今年の春節前に、嶋田さんは店の従業員から、実家で一緒に新年を迎えようと招待を受けていた。嶋田さんが聯盟村へ到着した1月23日、同市は村の封鎖措置を取り、公共交通機関の運行を停止した。

 日本政府は同27日、武漢市からの日本人の退避措置を発表したが、嶋田さんは市内にとどまることを選んだ。嶋田さんは「今は特殊な時期。私は中国政府の感染予防措置に協力し、外出時にはマスクを着用します」と語った。同市の社区(コミュニティー)や村は2月11日に全て封鎖され、商店も相次いで営業を停止したため、嶋田さんは村にそのままとどまることになった。

 新型肺炎の感染予防・抑制活動は最も困難な時期に突入し、農村の社区では生活物資や感染対策物資が全面的に不足している。村の人々は嶋田さんの話を聞きつけると、次々に支援の手を差し伸べた。嶋田さんは愛煙家だが、村ではたばこを手に入れるのが難しい。そこで数人の村民が、嶋田さんのために遠くまでたばこを買いに行っている。

 嶋田さんは「私は中国の田舎で元気に過ごしています。村の人たちはとてもよくしてくれます。皆さんお大事にしてください。新型肺炎が終息したら武漢大学へお花見に行きます」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News