【2月28日 AFP】新型コロナウイルス感染拡大対策の一環として封鎖されているイタリア北部の村では、何の変哲もないバス停のベンチが住民たちの命綱になっている。

 カステリオーネダッダ(Castiglione d'Adda)の住民らは毎日、バス停のベンチに向かう。そこは村外の人々から届けられる現金や食料品、たばこ、書類など、不運にも村内に閉じ込められてしまった人々が必要とするあらゆる物の引き渡し拠点になっているからだ。

 封鎖措置の開始から5日がたち、この「危険区域」のように検疫下に置かれたイタリア北部の自治体の住民らは、どうにか生活していく方法を編み出している。

 こうした引き渡し拠点が設けられているのは、ロンバルディア(Lombardy)平原の35か所に設置された検問所の周辺だ。計数万人の住民を擁する10市町村を取り囲むように検問所は配置され、兵士や警察官約400人が警備に当たっている。

 カステリオーネダッダのバス停ベンチ付近で、村外からたばこを持って来るという同僚を待っていた男性は、検疫対象地区の周辺警備に就いている兵士らと冗談を交わしていた。間もなく到着した同僚は、危険区域内にいる男性との間に一定の距離を保ちながら、彼のためのたばこをバス停のベンチに置いた。同僚がその場を離れると、男性はたばこを取りにベンチへ向かった。

 この日の午前中、同じような光景が絶え間なく繰り返された。ある獣医師は牛のための薬を受け取り、ある会計士は村から20キロ離れた町ロディ(Lodi)で清算しなければならない請求書や税金を託した。

 また村民はただ兵士らと雑談や冗談を交わしたり、村の外の様子を多少なりとも感じるためにバス停を訪れたりしている。(c)AFP/Cecile FEUILLATRE