【2月28日 AFP】台湾当局は、中国がネット上のトロール（荒らし行為）によって新型コロナウイルスの流行をめぐるパニックを引き起こそうとしていると非難した。荒らし行為のほとんどは、台湾で新型ウイルスが制御不能な状態で広がっているとするデマの拡散だという。

　台湾警察は、蔡英文（Tsai Ing-wen）政権が新型ウイルスの流行を隠蔽（いんぺい）しようとしているとのデマがオンラインやソーシャルメディアで拡散しており、現在捜査中だと明らかにした。

　蔡総統はフェイスブック（Facebook）上で、こうしたデマを信じないよう呼び掛けた。中国を名指しこそしなかったものの、「デマの中には、台湾では使われない表現が含まれているものもある」と指摘した。

　台湾では中国本土で使用されている簡体字ではなく、繁体字が使われている。

　情報の事実関係を検証する独立組織「台湾ファクトチェックセンター（Taiwan FactCheck Center）」は、簡体字や中国本土で使われる一般的な言い回しによるデマの投稿が急増していると指摘している。

　捜査当局によると、デマの中には、与党議員の子どもを名乗る人物が、台湾政府は「500人超の感染と200人の死亡をあえて発表しない」とソーシャルメディアに投稿したものもあった。さらに、中国本土で総統を指す「統帥」という言葉を使い、「蔡統帥」が遺体の火葬を隠していると主張するものもあったという。

　台湾は中国と文化的にも距離的にも近いが、新型ウイルスの流行に迅速に対応し、本土と香港、マカオ（Macau）からの台湾入りをすぐに制限し、その後禁止した。

　台湾ではこれまでに、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の症例が32件確認され、1人が死亡している。(c)AFP