【3月14日 AFP】南アフリカ、ケープ半島(Cape Peninsula)沖で早朝の波に乗るサーファーたち。ポリウレタン製のサーフボードの中、一つだけひときわ目立つボードがある──木製のボードだ。

 最初のサーフボードは木材から生まれた。サーフィンについての最も古い記録は、18世紀にポリネシアを訪れた英国人探検家らが残したものだ。

 だが、プラスチック時代が幕を開けると、木製サーフボードは、軽量で成形可能なプラスチック製と比べて重すぎる上に扱いづらいと、そっぽを向かれるようになった。

 だが今日、木製ボードが復活しつつある。要因の一つは、プラスチックであるポリウレタンが環境に及ぼす影響について、サーファーらが懸念を抱いていることだ。

 マシュー・クレイマー(Matthew Kramer)さんも、転向者の一人だ。木製ボードを購入したのは6年以上前のことだ。

「(木製ボードが)サーフィンへの愛をよみがえらせてくれた。全く新しい感じがするんだ」とクレイマーさんは語る。「パドリングも違うし、波の乗り方も違う」

 クレイマーさんのボードは、南アフリカの木製サーフボード製作の第一人者、パトリック・バーネット(Patrick Burnett)さんが、ケープタウン郊外で手作りしたものだ。

 木製ボード復活の別の要因は、ビンテージ物をありがたがる潮流だ。

 若者らが特に引き付けられているのは、1世紀をさかのぼるというバーネットさんの技術だ。バーネットさんはまた、木を思いのままに曲げるための独創的な方法を開発した。温めたやかんを使って、「レール」と呼ばれるボードの長いエッジを形作るのだ。

 工具が散らばり、乾いた接着剤があちこちに残る工房で、バーネットさんは「木は素晴らしい素材だ」と語る。「だが多大な労力が必要な作業なので……ニッチのままだろう」

 バーネットさんのボードはポリウレタン製のものより重く、競技には向かない。それでも多くの人が、多少のスピードや操縦性を喜んで犠牲にして、ユニークな木製ボードを使っている姿を見てもらおうとしている。(c)AFP