【2月28日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)の上級委員ディック・パウンド(Dick Pound)氏は27日、新型コロナウイルスの影響が懸念される今夏の東京五輪について、世界保健機関(WHO)や規制当局から特に勧告がない限りは、組織として中止や延期を検討することはないとの認識を示した。

 AFPの取材に応じたパウンド氏は、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の感染拡大をめぐり、東京五輪を中止する可能性についてはこれまでのところ全く話し合っていないと明かし、「IOCと東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)は、WHOやしかるべき規制当局から非常に深刻で具体的な提案がなければ、東京五輪に関して中止や延期もしくは他の行動に出るつもりはない」と述べた。

「それと同時に、IOCはこの6年半にわたって計画してきたプロジェクトを推し進めていく決意である」「開催が不可能になるほど世界情勢が深刻になったり、規制当局が渡航規制などの措置を講じたりしない限り、われわれは前進していく」「しかし、少なくとも何かが起きるかもしれないと想定せずに、このまま計画を続行するのは無責任というものだ」

 7月24日から8月9日まで開催される東京五輪に向けて、準備を進めているアスリートへのメッセージについて尋ねると、「トレーニングを続けることだ。われわれは、今年の東京五輪を開催するつもりでいる」と答え、「しかし、見て見ぬふりができない重要な問題が起きる可能性についても、理解と認識を持つことだ」と付け加えた。

 パウンド氏はまた、東京五輪の開催可否を決断する具体的な時期などは決まっていないとしながらも、「それが1か月先か2か月先かは分からないが、どこかの時点で誰かが『イエス』か『ノー』か決めなければならない」との見解を示した。

「今後進んでいく中で、得られるデータに依存していくことになるだろう。様子を見ていきながら、信頼できるデータを見極めていく」「正しい情報なしに事を急いだり、早期に行動しすぎたりするのは、とにかくおろかというものだ」 (c)AFP