【2月29日 People’s Daily】午前9時、中国・南京市(Nanjing)に住む元教師の女性、李潔(Li Jie)さんは、野菜を手に入れようと自宅から外に出た。以前のようにスーパーマーケットへ買い物に行くのではなく、インターネットで注文した野菜2袋を配達員から団地の入り口で受け取った。「料金は100元(約1570円)ちょっと。これで2~3日分の食事ができますね」と李さん。「新型コロナウイルスの感染が広まって以来、スーパーに行くことはほとんどなくなりました。生鮮食品のネットサイトで注文して、配達員に届けてもらう。安全で便利ですよ」。李さんは春節(旧正月)以来、娘に教えてもらいながらネット上の買い物を始め、今では商品の選び方から支払い方法まで熟知するようになった。

 新型肺炎の拡大以降、中国の各家庭は外出を控え、ネットを通じた買い物が新たな選択肢となった。春節以降、生鮮食品の電子商取引(EC)「毎日優鮮」は取引額が前年同期比の3倍となった。食品デリバリーEC「美団買菜」「京東生鮮」も北京、上海、深圳(Shenzhen)、武漢(Wuhan)などの都市で売り上げは増加。特に野菜、穀物・油、果物、卵、海鮮物などのニーズが多く、一日の売り上げの60%以上を占める。

 毎日優鮮の王珺(Wang Jun)CFOは「国内の農産品の生産力はしっかりしている。問題は収穫、加工、輸送面での人手不足。関係者が協力し、安定供給を続ける必要がある」と指摘する。農業農村省と交通運輸省、公安省は共同で「安定輸送、正常な流通により消費者に生鮮食品を届ける『グリーンルート』を確保するように」と通達している。

 人手不足を解消するため今月3日、アリババ集団が運営する生鮮スーパー「盒馬鮮生」は雲南料理「雲海肴(YunhaiYao)」や西北料理「西貝」などの飲食店チェーンと「従業員のシェア」をすることで合意した。10日までの1週間で、飲食店の1800人強の従業員が盒馬鮮生に正式に勤務。各生鮮ECが同じように次々と従業員シェア方式を採用し、臨時社員となって生鮮サイトの運営に携わっている。

 新型肺炎の拡大以降、多くの生鮮ECが積極的に「無接触配達」サービスを取り入れている。消費者は携帯電話のアプリでサービスを依頼するか、電話で直接、配達員に連絡している。

 宅配サービス会社「美団外売」のリポートによると、1月26日から2月8日まで、無接触配達ができるメニューは全体の80%以上になり、ユーザーの66%は無接触配達を依頼している。(c)People's Daily/AFPBB News