【3月1日 CNS】「何をしたいのか、ボード上のカードを指先で指して教えてくださいね」——先月24日午後7時過ぎ、武漢市(Wuhan)第五医院に入院している新型コロナウイルス肺炎重症患者の熊さんは、手作りのボードに描かれた「寒い」と「水を飲む」のカードを指さすと、看護師は掛け布団をかけ直し、水を飲ませた。

【動画】思いやり伝わる 看護師が手作りした指示カード 中国・武漢市

 江西省(Jiangxi)の武漢支援医療隊の第1陣として来ている看護師の陳鈺浠(Chen Yuxi)さんは、看護をする中で方言に苦労させられるとは思いもしていなかったという。

「支援のために武漢に来て29日がたちました。私たちが毎日お相手をしているのは重症の患者さんです。皆さんの症状は重く、気管チューブを挿入しているので、ほとんどの方がしゃべることができません。まれにしゃべることができる患者さんもいますが、湖北方言が強すぎて、何を言っているかさっぱりわかりません」

 陳さんは、意識がはっきりとしている患者とは何とか意思の疎通ができるものの、多くの場合、何回も繰り返して聞いたり、身ぶり手ぶりをしたりしなければならず、時間がかかり、正確さにも欠けることが悩みとなった。

 毎日の仕事の中で、陳さんは次第に患者が頻繁に要求することは10種くらいだと分かってくる。寒い、熱い、食べたい、飲みたい、寝返りを打ちたいなどだ。陳さんはもともと絵を描くことが好きで、絵と文字を組み合わせたカードを自作し、コミュニケーションボードを作り上げた。患者はしゃべる必要はない。うなずくか、指先でどれか指せばよい。

 陳さんは先日、古紙で「図解版介護必要ボード」を作った。「食べる」はご飯茶わんの絵、「気分が悪い」は眉をひそめた顔の絵、「息苦しい」は手で胸を押さえた絵、「寝返り」は回転する矢印など、文字と絵だけで黒と赤の2色だけのシンプルなデザインだ。

 陳さんのこの「コミュニケーションボード」は重症病棟の仕事の中で大いに役に立っている。陳さんが休みの時には、同僚の看護師らが使い、コミュニケーションに使う。外地の人間にとっては、正確に、一瞬で理解ができるので実に便利なのだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News