【2月26日 AFP】南アフリカで2002年から2015年にかけ、エイズウイルス(HIV)陽性の妊婦らに対して強制不妊手術が行われていたとの調査報告書が発表された。手術は出産後に行われていたといい、調査に関わった同国のジェンダー平等委員会(CGE)は、女性らの人権が侵害されたとして政府に対応を求めている。

 報告書が公表されたのは24日。調査は二つの女性団体が2015年に強制的な不妊手術が認められた事例48件をCGEに申し立てた後、実施された。

 CGEのケケツォ・マエマ(Keketso Maema)代表は報告書の中で、「告発した女性はすべて黒人で、大半がHIV陽性だった」と指摘。また「女性たちは出産直前に書面に署名するよう強制され、それが不妊手術を病院側に許可する同意書だったらしいことが後になって分かった」と説明している。

 さらに、女性が書面に署名しなかった場合、病院のスタッフは治療を拒否すると脅迫していたことも調査で発覚。内容を完全に把握できないほどの激痛に見舞われている時に書面を渡された、と訴えている人もいるという。

 被害を訴えている女性は皆、帝王切開で出産した。多くが二度と妊娠できないと知ってうつ状態となり、パートナーに見捨てられた女性もいた。

 CGEは、被害女性らが人権を侵害され、「屈辱的な扱い」を受けたと断定し、治療の義務の不履行で医療スタッフを非難している。また報告書は保健省にも提出され、政府に不妊手術に関する書面手続きを見直すよう勧告している。

 保健省に報告書に対する見解を求めたが、回答を得ることはできなかった。

 政府の統計によると、南アフリカのHIV感染者は2002年には約464万人だったが、2019年には全人口の13.5%に当たる797万人まで増加している。(c)AFP/Sofia CHRISTENSEN