■感染拡大が続くとどうなるか?

 ウイルスの拡大を食い止めるという戦略は、感染者が増えると実行が難しくなる。ある時点において、各国の保健当局は「拡大の抑制」から「感染への対処」に方針を切り替える必要が出てくる。

 仏パスツール研究所(Institut Pasteur)の専門家シモン・コーシュメス(Simon Cauchemez)氏は、「そうなった場合、われわれはすべての感染例を特定し隔離するという従来手法を維持することはできなくなる。十分なリソースがないためだ」と述べる。

 先進国にとっては医療制度に大きな負担をもたらす問題だ。これについてヤズダンパナ氏は、感染者の85%は重症化しないとしながら、「だが重症化した場合、季節性インフルエンザよりも深刻で、入院しなければならない」と説明した。

 発展途上国においてアウトブレイクが発生した場合、対処はさらに難しくなる。2014~16年に西アフリカで感染が拡大したエボラウイルスに比べると、新型コロナウイルスの致死性は低いが検出が難しく、流行の拡大を止めることも難しい。

 コーシュメス氏は、「致死率がわずか3%だったとしても、全人口の30~60%が感染すればそれは膨大な数になる」とその問題の大きさを指摘している。(c)AFP/Paul RICARD / Amelie BAUBEAU