■隔離の期間は?

 感染してから症状が出始めるまでの潜伏期間は、大半の研究で平均約10日だと推定されている。このことから、感染の可能性があるまたは感染が疑われる場合には14日間の隔離期間を設けることが勧められるようになった。

 だが、中国の専門家らは最近、比較的少数の感染例に基づき、潜伏期間が24日から最長で27日の可能性があると結論付けている。

 他の科学者らは、この結論に懐疑的だ。「最近のデータでは、潜伏期間が実際にはこれよりも短いという逆の結果が示唆されている」「潜伏期間が14日以上ある人はごく少数だ」とレビィブリュル氏は話す。

 他方で、WHOの専門家ヤズダン・ヤズダンパナ(Yazdan Yazdanpanah)氏も、潜伏期間の長いケースがあったとしてもそれは「まれ」だとし、「感染の流行は(こうした)極端な例で拡大するわけではない」と述べている。

■検査の精度は?

 日本に停泊していたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス(Diamond Princess)」をめぐっては、下船し帰国したオーストラリア人2人とイスラエル人1人の感染が確認された。下船する前の検査では3人とも陰性だった。

 これについてヤズダンパナ氏は、「検査では確実にウイルスを検出できる」とし、そもそも検査が適切に行われていたのかすら分からないと疑問を呈した。

 検査材料はウイルスの遺伝子プロファイルに基づき、専門の研究所で調べる必要がある。検査では数時間以内に結果が出る。

「症状が出始めると、患者は大量のウイルスを放出する。そのため、検査機器の問題であることは考えにくい」とヤズダンパナ氏は指摘する。

 ヤズダンパナ氏はまた、「回復期には陰性判定のリスクも高まり、さらに複雑になる」「だが、その時点になると感染力は弱まり、流行への影響も減少する」と説明している。