【3月3日 CNS】新型コロナウイルスの発生地である中国・武漢市(Wuhan)。ある住民は、仕事の再開が再度の延期で3月10日まで遅れることになり、休暇期間がさらに延びた。少なくともあと半月以上は家にいることができるが、感染症との闘いがそれだけ深刻だということだ。

 何が原因か分からないまま、全国各地では早くから居住区を封鎖し、人の出入りを制限、人の移動を極力減らしてきた。しかし、武漢は初めから市民の自覚に頼っており、春節(旧正月、Lunar New Year)の期間中も、通りには人がほとんどいなかったものの、スーパーマーケットの中に足を踏み入れると、そこにはいつもの光景が広がっていた。野菜を選ぶ人、魚を選ぶ人、肉を計る人も、マスクを着けている以外は、普段と何ら変わりはなかった。

 少し前から、様子は変わった。武漢でも封鎖式管理を実施することを決めたのだ。ただ、初めは、住民は証明書を提示しさえすれば、出入りはできた。3日に1回、近くに買い物に行くことができた。スーパーは、顧客の入場数を制限し、そのために店の前には数百メートルの列ができていた。

 それが約1週間前から、居住区の徹底した封鎖式管理が始まり、出入りは完全に禁止された。それに伴い、食料が残りわずかとなった。出入りができないのだから、買い物にも行けない。

 居住区が完全に封鎖されると、スーパーも個人に対応してくれなくなった。あっという間に、いろいろな「集団購入」のグループが誕生し、オンラインで買い物をすることが生きていく上で必須となった。初めは、最小範囲の基本的な生活必需品のためだったが、短い間に、米、小麦粉、油などの基本的な商品群から、肉類やフルーツなどの商品群にバージョンアップ。さらにはシーフード、パンやケーキなど各種高級食材へと幅を広げていった。

 この住民も初めは、野菜類だけを買うつもりで「野菜グループ」に参加した。その後に「肉グループ」「フルーツグループ」など、10を超える団体購入グループに参加することになるなど、考えてもいなかった。

 毎日、朝起きればグループからの情報をまずフォローし、寝る前にもスマホをチェックするように。微信(ウィーチャット、WeChat)の着信音は朝から晩まで鳴り続け、スマホの画面を数分間見なければ、数百本の未読情報がたまってしまう。今や、グループでの共同購入を心底楽しむようになり、どっぷりとその中につかる毎日だ。

 商品を受け取りは、居住区の出入り口のところで行う。ここが今、最も人が多い場所となった。グループ内に「到着しました」と連絡が入ると、静かなマンションの四方八方から人々が押し寄せる。そして最短時間で各自の商品をチェックすると、また一目散に建物の中に消えていく。残るのはスキャナーが発した「ピッ、ピッ」という音の響きだけだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News