【3月8日 AFP】インドでは多くの女性が外出中に尿意を催すのを恐れている。清潔な公衆トイレが少ないからだ。大学生のスワルナ・ドンガレ(Suvarna Dongare)さんもその一人。だからこそ、国内西部プネ(Pune)の公園で、女性専用の「移動式トイレ」を見つけたときはうれしい驚きだったという。このトイレは、起業家らが廃車になったバスを改造したものだ。

 5ルピー(約7円)という比較的手頃な料金を支払うことで、女性なら誰でもトイレを使用でき、子どもへの授乳に利用したり、生理用ナプキンやおむつを購入したりすることもできる。

 起業家のウルカ・サダルカル(Ulka Sadalkar)氏とラジーブ・ケール(Rajeev Kher)氏は、2016年にプロジェクト「ティ・トイレット(Ti Toilet、tiは現地のマラーティー語で『彼女』の意)」を立ち上げた。プネ市内に点在している移動式トイレは計12台あり、1日当たり平均200人以上が利用している。電力は太陽光発電で賄われ、車両の上部にソーラーパネルが取り付けられている。

 サダルカル氏は、市内の衛生状態の改善に焦点を当てたプロジェクトの一環で、この企画を思いついたとAFPに語った。「私たちは、女性は清潔で安全なトイレを利用するべきで、それは女性たちの基本的権利だと思っている」

 2人は、今後5年でインド全土に「移動式トイレ」を1000台設置したいと考えている。

 同国では、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が提唱する「クリーン・インディア(Clean India)」キャンペーンの一環で、トイレが数百万か所に設置されてきた。しかし専門家の指摘によれば、水や電気の不足から、多くのトイレが使えない状態にある。

 政府は公衆トイレの整備に苦心しているが、多くの公衆トイレは薄暗くて無人で、排せつ物による悪臭が漂っている。(c)AFP