【2月25日 AFP】オーストラリアで昨年から続いた森林火災で、同国の森林5分の1以上が焼失したことが24日、明らかになった。「世界的に前例のない規模」となった今回の森林火災は、気候変動に関連する干ばつが何年も続いた後に発生していた。

 気象学者らは現在、森林火災が気温の上昇にどの程度起因するのかを判断するため、豪州南東部一帯を破壊した今回の大規模火災から得られたデータの調査を進めている。

 森林火災を多角的に分析した豪研究者らによる研究論文は、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)特集号に掲載された。

 今回発表された複数の論文のうちの一つでは、2019年9月~2020年1月に豪ニューサウスウェールズ(New South Wales)州とビクトリア(Victoria)州で約580万ヘクタールの広葉樹林が焼失したことが指摘された。

 これは豪州の森林面積のおよそ21%に相当することから、相対的に見て、今回の森林火災シーズンは観測史上で最も壊滅的な被害をもたらしたことになる。

 豪・西シドニー大学(Western Sydney University)ホークスベリ環境研究所(Hawkesbury Institute for the Environment)のマティアス・ボーア(Matthias Boer)氏はAFPの取材に応じ、「今シーズンは大陸で焼失した森林生物群系(バイオーム)の領域が世界全体で群を抜いていた。これには衝撃を受けた」とコメントした。

 ボーア氏はまた、今回の研究は豪南部タスマニア(Tasmania)島のタスマニア州がデータに含まれていないため、森林消失の程度はほぼ確実に過小評価となっていると説明している。豪州での火災による森林焼失率の年間平均は、通常の年であれば2%を大きく下回っているという。