【2月22日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の第1回バルセロナ合同テストは21日、スペイン・バルセロナ(Barcelona)のカタロニア・サーキット(Circuit de Barcelona-Catalunya)で最終3日目が行われ、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のバルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)が今回のテストを通して最速タイムを計測した。世界王者のメルセデスは、革新的なステアリング装置で早くも心理的優位に立つと同時に、ライバル勢を当惑させている。

 2019年シーズンのドライバーズ選手権で、通算6度の年間優勝を誇るチームメートのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)に次いで2位となったボッタスは、合計65周を走行して1分15秒732を記録した。テスト初日の19日にトップに立ったハミルトンも、1分17秒を切る好タイムで2番手となった。

 合同テストの結果が必ずしも2020年シーズンの行方を占うわけではないものの、メルセデスはDAS(Dual Axis Steering、デュアル・アクシス・ステアリング)でフェラーリ(Ferrari)やレッドブル(Red Bull)にインパクトを与えて、彼らの頭を悩ませ、すでにしてやったりという雰囲気になりつつある。

 この装置は20日にハミルトンのマシンに搭載されていたのに続き、この日はボッタスが使用。両ドライバーは、ストレートに突入する際にステアリングを手前に引き、コーナーではハンドルを元に押し戻していた。この目的は、タイヤのグリップと安定性を向上させることにある。

 ボッタスによるとDASは1年前から開発が進み、シミュレーターでのテストを済ませた上で今回初めてバルセロナのサーキットで使用された。これによってメルセデスは、2021年にレギュレーションが変更になるのを前に、決定的なアドバンテージを築く可能性がある。

 フィンランド出身のボッタスは、英スカイ・スポーツ(Sky Sports)に対して、「DASを使って走行してみて現段階で学んだのは、そうだね、これがマシンに搭載されて満足しているということ。そして、パフォーマンス的に収穫があると思わなければ、こういうものを試したりしないということだ」と語った。

「セッションやエリア、そしてコンディションによってどのような収穫があるのか、まだ学んでいるところだ。あと、予選やレースで有効かどうかもね」「チームにとって、これはかなり大きなプロジェクトであり、コピーするのは相当に難しいだろう。そのことで、僕らが優位に立てることを願っている」

 一方、通算4度の世界制覇を誇り、初日は体調不良で走行を見送っていたフェラーリのセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)は、マシンの不具合で午前中のセッションを途中で切り上げた。この日は合計100周を走行したものの、最速タイムは1分18秒384で13位に終わった。(c)AFP