【2月22日 AFP】ウクライナのゾリアナ・スカレツカ(Zoryana Skaletska)保健相は20日、新型コロナウイルスの感染が流行している中国からウクライナに退避した人々の隔離先に、自身も2週間入所する意向を明らかにした。ウクライナでは退避者受け入れに反対する住民が警察と衝突し、退避した人が乗ったバスが投石を受けるなどの騒動に発展していた。

 ウクライナ政府は中国から退避したウクライナ人45人とラテンアメリカ地域出身者を中心とした外国人27人を中部ポルタワ(Poltava)州にある人口1万人ほどの町ノビサンザリー(Novi Sanzhary)で隔離する措置を進めていたが、20日、一部住民が道路を封鎖したり、退避者が乗るバスに石を投げたりするなどの暴動に発展した。

 これを受け、スカレツカ保健相はフェイスブック(Facebook)にノビサンザリーの住民に向けた声明を投稿し、「退避者と2週間、同じ場所で、同じ状況の元で共に過ごす」と宣言。

 スカレツカ氏は襲撃や混乱に衝撃を受けたといい、「退避者たちはわれわれの同胞だ」「私たちは一つの国で暮らしており、退避者の健康と安全を保護しなければならない」と強調した。

 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領を含め、ウクライナ当局は緊張緩和に努めているものの、地元住民はウイルス拡大の可能性への懸念を口にしている。

 当局はノビサンザリーに装甲兵員輸送車や数百人もの武装警官を派遣し、警備を強化している。

 中国ではこれまで新型コロナウイルスにより2100人以上が死亡し、7万4000人以上の感染が確認されているが、ウクライナでは現時点で一人も感染者が確認されていない。

 映像は抗議する住民。ノビサンザリーで20日撮影・提供。(c)AFP