【2月22日 AFP】イランで21日、国会選挙の投票が行われた。穏健派や改革派を中心に数千人の候補が出馬資格を失ったことを受け、有権者らの間には無関心が広がっており、保守派が優勢とみられている。

 今回の国会選は、1979年のイラン革命以来11回目。同国では最近、米国との間の緊張が激化しているほか、自国軍が誤ってウクライナの旅客機を撃墜したことに対する反政府デモも起きていた。

 選挙での最初の1票は、最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師によって投じられた。同師はその際、国民の投票により「国益が保証される」と述べ、全有権者に投票を呼び掛けた。

 選挙は新型コロナウイルスの感染がイランにも拡大する中で実施された。同国当局は同日、国内の感染者が13人増え、うち2人が死亡したと発表。これにより、同国の死者数は4人、感染者数は18人となった。

 当局者からは、イランの敵が選挙の信用性を損なうために新型ウイルスの拡大規模を誇張していると非難する声も上がっている。

 半国営イラン学生通信(ISNA)によると、首都テヘランの選管委員長は「反革命分子らの最新の手口は、(重複投票を防止するために投票者につける)指のインクがウイルスで汚染されているとして、コロナウイルスの話を誇張することだった」と主張。新型ウイルス拡散の不安を軽減するため、インクの塗布は任意とされた。

 専門家らは今回の選挙での投票率は低くなると予想。低投票率は保守派に有利に働く一方で、自由の拡大と西側諸国との協調による恩恵を約束して2017年に再選されたハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領には不利となるとみられている。

 イランは、2018年の歴史的核合意から米国が一方的に離脱し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が対イラン制裁を再開したことで、厳しい不況に陥っている。

 今回の選挙では、31州から1万6033人が立候補を希望していたが、護憲評議会が数千人の候補を失格としたため、このうちの約半数で290議席を争う。

 選挙前日には国営メディアが、選挙の票が魚雷に変身し、イランに近づく敵の海軍艦に命中するという短い映像を放送した。

 だが有権者の多くは、関心のなさを口にしている。無職の男性(38)は、「この国の選挙は無駄だ。今の国会でさえも、金融腐敗で調査対象になっている議員が90人いる」と語った。

 じゅうたん販売店を経営する男性は、「私たちは夢を抱いてロウハニ師に投票したが、何も成し遂げられなかった。だから、人々はもう希望など持っていないと思う」と語った。

 投票時間は3度にわたり延長され、締め切りは午後11時(日本時間22日午前4時半)となった。最終開票結果は23日に公表される見通し。(c)AFP/Amir HAVASI