■戦後の遺産

 仏政府は1月、本来の耐用年数だとされる40年に近づいている、または超えている原子炉12基を、2035年までに廃炉とする方針を確認した。

 だが、それと同時に国営企業である電力大手EDFは、北西部フラマンビル(Flamanville)の原発で、当初の計画よりも10年も遅れてはいるものの、2022年に次世代原子炉を稼働させる予定だ。この他にも新たな原子炉の稼働が予定されている。

 フランスの原発の歴史は、第2次世界大戦(World War II)の英雄シャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)大統領の時代にまでさかのぼる。同氏は国家主権を急いで回復する政策の一環で、早くも1945年には原子力・代替エネルギー庁を創設している。

 原発は地域経済を潤しており、今では高給の仕事を失うことを恐れている人も多い。フェッセンアイムだけでも2025年に原発解体が始まれば、現在650人いる従業員のうち残ることができるのは60人にすぎない。

 政府は経済的打撃の埋め合わせとして、財政支援と従業員や下請け業者らが別の職をみつけるための支援をすると約束している。だが、東部では過去数十年にわたり伝統産業が衰退している。

 フェッセンアイム原発に近いドイツとスイスは長年、同原発の閉鎖を求めており、フランスが原発に固執していることにいら立ちを募らせている。

 また、フランス国内の複数の世論調査でも原発反対派が増えている。

 フランスの原子力安全局は昨年9月から、各地の原発の周辺住民220万人に対し、放射線が漏れた場合に服用する安定ヨウ素剤の配布を開始した。

 映像は上空から撮影したフェッセンアイム原発、20日撮影。(c)AFP/Beatrice ROMAN-AMAT and Joseph SCHMID