【2月21日 AFP】43年前から稼働するフランス最古の原子力発電所の閉鎖が、22日から始まる。これから一連の原子炉の運転終了が予定されているが、フランス政府は原発への依存度を下げる意向は示していない。

 2011年の福島第一原発事故以来、ドイツとスイスの国境近くにある、仏東部ライン(Rhine)川沿いのフェッセンアイム(Fessenheim)の原子炉2基の廃炉は、反原発活動家らの主な目標となってきた。

 専門家らは、1977年に稼働したフェッセンアイム原発の建物と安全基準は、福島原発の基準をはるかに下回っており、アルザス(Alsace)地方の地震や洪水の危険性が過小評価されていると警告している。

 フェッセンアイム原発の第1原子炉の廃炉は22日から、第2原子炉は6月30日から始まる。だが、使用済み燃料を冷却し除去できるようになるまでには、数か月かかると考えられている。

 フェッセンアイムの原発が閉鎖されても、国内には18基の原発と56基の加圧水型原子炉が存在する。これを上回る数の原子炉を有するのは98基の米国だけだ。フランスでは国内の電力需要の70%を原子力発電に頼っている。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、原発を「ゼロカーボン(二酸化炭素排出量ゼロ)」と呼び、今後数十年は使用を続ける方針を示している。このため福島の事故を受け、脱原発を掲げる欧州連合(EU)の大国ドイツとは反目している。

 マクロン氏は2017年、ドイツのボンで開かれた国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)で、「原発閉鎖の動きを加速させるべきだというふりをすると(中略)、今後石炭火力発電所を再開せざるを得なくなる」と述べている。