【2月21日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は20日、情報機関を統括する国家情報長官代行をジョゼフ・マグワイア(Joseph Maguire)氏から駐ドイツ大使のリチャード・グレネル(Richard Grenell)氏(53)に交代する人事を行った。

 マグワイア氏をめぐっては、今月13日に同氏側近が下院情報委員会に対し、2020年の米大統領選でトランプ氏を再選させる目的でロシアが再び介入していると説明を行い、これについてトランプ氏がマグワイア氏に怒りをぶつけたとの報道が出ていた。

 下院情報委員会に説明を行ったのはマグワイア氏側近のシェルビー・ピアソン(Shelby Pierson)氏だと報じられており、トランプ氏が特定のやりとりに難色を示したのかどうかは分かっていない。

 ただ米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、トランプ氏は下院情報委員会にアダム・シフ(Adam Schiff)下院議員が同席していたことにいら立ったという。シフ氏は、権力乱用や議会妨害の疑いでトランプ氏を弾劾裁判に追い込んだ民主党の調査を率いる立場にあった。

 マグワイア氏は昨年8月に国家情報長官代行に起用され、長官への正式な就任が有望視されていた。だが米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、先週トランプ氏はホワイトハウス(White House)の大統領執務室(Oval Office)でマグワイア氏と面会し、同氏側近の「背信行為」を激しく責め立て、これによりマグワイア氏の正式就任への道は事実上絶たれたという。

 共和党が多数派を占める上院によって弾劾裁判で無罪とされて以降、トランプ氏は自分に「忠実でない」とみなした幹部を司法省や国防総省、国家安全保障会議(NSC)から追い出す動きを進めている。

 マグワイア氏の後任となる駐ドイツ大使のグレネル氏は、物議を醸す発言でドイツ側をいら立たせたことでも知られている。国家情報長官は中央情報局(CIA)を含む17機関を監督する立場だが、グレネル氏には情報機関での経験やトップレベルでの管理職経験はない。

 グレネル氏の長官代行起用について大統領報道官のステファニー・グリシャム(Stephanie Grisham)氏は20日、「わが国の安全保障のよりどころとなる国家情報長官室のトップとして、グレネル氏は非政治的・非党派的な態度に徹する」と語った。

 グレネル氏はツイッター(Twitter)への投稿で、自身の正式な長官就任を否定し、トランプ氏が「間もなく」正式な長官を起用するとの考えを示した。(c)AFP