【2月21日 Xinhua News】米国北東部メーン州ストニントン出身のロブスター卸売業者、ヒュー・レイノルズさんは、中・米第1段階経済貿易合意が14日に発効した際、大喜びした。

 「中国とのビジネスを早く再開したい」とレイノルズさんは話す。

 合意文書によると、中国は米国から購入する農産品を増やすことになっており、そうした中でもロブスターに今、大きな注目が集まっている。

 この業界で20年以上の実績を持つレイノルズさんの会社、グリーンヘッド・ロブスターは、ロブスター漁の歴史が長いストニントンで大手のロブスター卸売会社だ。

 同社は、北京、上海、広州(Guangzhou)など、中国の多数の都市に顧客を持ち、生きたロブスターの年間漁獲量約450万キロのうち30%以上を中国に輸出している。

 米国が2018年5月、約500億ドル(1ドル=約111円)相当の中国製品に25%の追加関税を課すと発表し、それに反発した中国が同年7月に米国産ロブスターに25%の追加関税を課したときのことをレイノルズさんは今も覚えている。

 新華社(Xinhua)の単独インタビューに応じたレイノルズさんは、「あのときに中国向けのうちの出荷はすべて停止した」と語った。

 国際取引に関するデータベース「ワイザートレード」によると、中国は17年、約1億2800万ドル分の米国産の生きたロブスターを輸入した。だが、追加関税適用後は激減。19年上半期の輸入額は、前年同期比で80%減少したことがデータで判明している。

 メーン州には18年6月時点で、認可を受けたロブスター漁師はおよそ4500人、同業界内で直接雇用されていた従業員は約1万~1万2000人いた。だがその後、メーン州のロブスター業者の一部は、経営を安定させるため従業員を一時解雇しなければならなかった。

 一方、ハリファクスから中国行きの貨物便が運航されているカナダでは、ロブスター業が活況を呈している。カナダでも、米国と同じ種類のロブスターが水揚げされる。

 メーン州のロブスター業界は、中国市場への再参入に意欲を示す一方で、失った市場シェアをすぐに取り戻すことは非常に難しいことも把握している。

 レイノルズさんによると、米国ではこの1年半、ロブスターの中国への輸出量が減っただけでなく、カナダからの輸入量も落ち込んだ。こうしたことは、レイノルズさんのキャリアの中で初めてだという。

 米国が持っていた市場シェアの大半をカナダに奪われ、生産から流通までのサプライチェーン全体が移行してしまった今、シェアを取り戻すのは容易ではないと話すレイノルズさん。中国に対する関税引き上げは事業に打撃を与えるだけであり、支持しないと言い添えた。(c)Xinhua News/AFPBB News