【2月20日 People’s Daily】10日午前、中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)に住む女性・孫さんが買い物を終えて自宅のある団地に戻ると、入り口で自治会のスタッフが待っていた。スタッフは孫さんの体温を測り、アプリ「疾病予防情報プラットフォーム」に登録。情報はビッグデータで一括管理され、新型コロナウイルスの感染拡大防止につなげている。

 自治会の責任者は「情報の集中管理により、この団地ではすでに15件の潜在リスクをあぶり出すことができました」と話す。

 杭州市の各団地では現在、住民が出入りする際の検温登録制を導入し、各自治会がビッグデータと連携している。

 市民は携帯電話のアプリ「浙江省新型肺炎公共サービス・管理プラットフォーム」を開けば、自宅にいながら健康情報を申告し、新型肺炎の最新情報を知ることができる。インターネットで病院とつながり、オンライン上で問診や健康相談をすることもできる。今月中旬までに感染症に関する情報提供は929件、インターネットを通じて問診と相談は1万3055件に達した。

 中国有数のデータ先進地域である浙江省は、ビッグデータを使って人の集まる場所や移動状況を収集・分析しており、新型肺炎が流行しそうな傾向を事前に予測し、合理的な医療体制を組んでいる。

 ビッグデータは市民生活の安定にも役立っている。浙江省市場監督局は、省内約360か所の商品卸市場やスーパーで商品価格や在庫状況をビッグデータで管理。市場のニーズを把握し、商品の過不足がないようにしている。インターネットショップと配送会社と連携した「安全リスト」もつくり、コンビニの正常営業を確保し、市民の身近な買い物問題を解決している。

 企業の生産再開にもビッグデータは貢献している。今月10日以降、浙江省各地の工場に通信、電力、交通に関するデータを提供し、計画的な生産体制を支えている。杭州市ではさらに「企業生産再開申告プラットフォーム」を設立。生産再開の許可を受けた企業に、体温など従業員の健康状況を毎日報告することを義務付けている。(c)People's Daily/AFPBB News