【2月20日 AFP】ドイツ政府は、極右過激派による政治家らへの脅迫が相次ぐ中、インターネット上の憎悪表現(ヘイトスピーチ)規制法を強化し、ソーシャルネットワークサービス(SNS)企業にも厳格な対応を求める方針だ。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の内閣は19日、新たなヘイト対策法案を閣議決定し、連邦議会へ送付した。

 ドイツでは数日前に、チャットなどを通じて複数のモスクへの襲撃計画を立てていた男12人が警察に逮捕されている。法務省ウェブサイトに掲載されたクリスティーネ・ランブレヒト(Christine Lambrecht)法相の声明は、「今後、ネット上で脅迫したり憎悪を拡散したりする者は、より厳しく、より効果的な方法で訴追される」と述べている。

 注目は、フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)といったSNS企業に対し、他者を攻撃するコンテンツを早急に削除するよう迫る条項だ。法案が可決されれば、米IT大手各社には、特定の種類の違法な投稿をドイツ連邦警察に通報する義務が生じる。この報告に基づいて、ドイツ司法当局は訴追手続きを取る。

 独当局への協力を拒むSNSプラットフォームには、最大5000万ユーロ(約60億円)の罰金が科せられる。

 このほかにも、ネット上で殺害やレイプを予告した者への罰則を最長で禁錮3年とするなど、厳罰化を進める。

 また、テロや殺人など凶悪な犯罪については、裁判所の命令に基づいてSNS企業にユーザーのパスワード提供を義務付け、暗号化されていても例外ではないとしている。(c)AFP/Mathieu FOULKES