【2月20日 AFP】オーストリアの首都ウィーンで20日に開催される「オペラ座舞踏会(Opera Ball)」。今年は同舞踏会史上初となる、同性ダンサーがペアを組み、社交界にデビューする。

 ウィーンの舞踏会シーズンの目玉となるこの催しを見に、ウィーン国立歌劇場(Vienna State Opera)には約5000人が集まり、テレビでは約200万人が視聴する。

 初の同性ペアとなるのは、ドイツ出身のソフィー・グラウ(Sophie Grau)さん(21)とイリス・クロプファー(Iris Klopfer)さん(22)。2人は高校時代からの友人同士で、他のほとんどのペアと同じように、ダンスフロアの外ではカップルではない。

 他の参加者同様、ソフィーさんとイリスさんも舞踏会出場のために、厳しい審査を通過しなければならなかった。審査で最も求められたのは、ウインナワルツの完成度だ。

 ウインナワルツを習得する努力を続けられたのは、純粋にダンスが好きだからと主張する2人だが、そこにはメッセージもある。「この場を利用して伝えたいのは、ズボンの中がどうであろうと、生まれ持ったものがどうであろうと、誰でも自分の望むパートを踊ることができるのだということ」とソフィーさんは語る。「ペアのダンサーにとって大切なのは、一緒に上手に踊れるかどうか、踊るのが楽しいかどうかです」

■伝統を守りながら進歩

 一方、ソフィーさんとイリスさんが伝統に固執した点もある。服装規定だ。参加の申請にあたり、通常、初舞台の男性が着る黒のえんび服を、ソフィーさんが着ることに喜んで同意したのだという。

 ソフィーさんにとって、この選択は当然のことだった。「私の髪は短い。どこに冠を着ける?」「こういう風にして出るのが、2人ともしっくりくるだろうと思って決めた」

 舞踏会主催者のマリア・グロスバウアー(Maria Grossbauer)氏は、黒のえんび服と白いドレスのコントラストは、皆がそろって動く時に際立った視覚的効果を生むと話し、2人の考えを歓迎した。

 リード役は2人が交代で行うと、イリスさんは説明した。

 グロスバウアー氏はそのスマートな方法を認め、「伝統の範囲内で、発展や進歩を遂げることができる」「自分のやり方に固執していてはいけない。オープンにならなければ」と語った。

 映像はリハーサルに励んだ2人。16日撮影。(c)AFP/Celine JANKOWIAK