【2月22日 AFP】昨年のクリスマスにフランス・アルプス(French Alps)の町モンクラー(Montclar)にあるスキーリゾートは創業以来、初めて十分な雪を確保できなかった。降雪量が少なく、人工降雪機でつくっても足りず、膨大な費用をかけてヘリコプターを使って山の上の方から雪を運んで来るしかなかったという。

 雪に大きく依存している地元の人々は、これは気候変動がもたらす大混乱の前触れで、雪不足はこの冬だけでは終わらないと考えており、衝撃を受けている。

 アルプスは特に、地球温暖化の壊滅的な影響にさらされている。

 NGO「アルプス保全委員会(CIPRA)」によると、アルプスの山岳地帯の気温は過去120年間で2度近く上昇している。これは同じく上昇傾向にある世界平均のほぼ2倍だ。

 スイス・ダボス(Davos)にあるスイス連邦雪・雪崩研究所(WSL Institute for Snow and Avalanche Research)は、アルプスでは今後「グリーン・クリスマス」が増えると指摘している。標高1300メートル以下のゲレンデが最も影響をうけるという。

 モンクラーのスキー場は標高1350メートルに位置している。

 降雪量の減少は年々標高の高い地域でみられるようになっている。1960年代には1200メートル地域で発生していたが、現在では約1500メートルの地域でも雪の量が減っている。

 モンクラーは80年代に人工降雪機を導入しており、雪不足を人工雪で補った最初のスキーリゾートの一つだ。モンクラーの人工降雪機は、氷点下2度以下になると自動的に作動するようになっており、輸送用パイプラインや貯蔵庫も整備されている。

 だが、季節外れの暖かさに見舞われたこの冬は、これらすべてを駆使しても十分な雪を賄えなかった。書き入れ時のクリスマスシーズンになっても雪は降らず、気温が高すぎたため人工降雪機も使えなかった。

 モンクラーのスキーリフト管理会社を経営するアラン・キエーブル(Alain Quievre)さんによると、最終的にヘリコプターをチャーターし標高2000メートルにあった雪をスキー場まで輸送した。環境への影響が懸念される「厳しい選択だった」とキエーブルさんは述べている。

 輸送には3時間かかり、計400リットルの燃料を消費した。これは同スキー場で使う燃料の年間消費量の約0.7%に当たる。キエーブルさんは「常勤の従業員50人と季節労働者43人の雇用がかかっていた」と訴えた。

 ただ、科学者らは、人工雪も製造には大量の水とエネルギーを必要とするため、環境への負担が大きいと警告している。(c)AFP/Francois Becker and Antoine Bouthier