【3月14日 東方新報】新型コロナウイルスの感染による肺炎の広がりに対し、中国政府は厳しい予防・抑制措置を講じ、国民の移動や集まりを極力減らした。多くの実店舗で人影が少なくなった一方、デジタル経済が社会運営を支える重要な要素になりつつある。

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 湖北省(Hubei)以外の「都市封鎖」を行っていない地域で、人々の基本的な生活はインターネットが頼りだ。北京市の韓さん一家は、ウイルスの流行が始まってから、ほとんど家の中で過ごし、ネット通販で生鮮食品や日用品などを購入している。夫はスマホゲームをしたりケーブルテレビで映画を見たりするのが日課だ。娘はネット授業を受け、学校の勉強に遅れはないという。

 北京の一部の居住区では、スーパーやネット通販企業が区役所などと共同で感染対策としての「サービスステーション」を設立している。住民はスマホのアプリで欲しいものを注文し、商品は同ステーションに配達され、住民はそこに取りに行けばよい。発注から引き取りまで「人との接触なし」で完了する。

 これらは、いずれも中国のデジタル経済の縮図といえる。データによると、2012年から2018年までの間、中国のデジタル経済の規模は約11兆元(約170兆円)から31兆元(約477兆円)に増え、国内総生産(GDP)に占める比率は20.8%から34.8%まで拡大、世界第2位の規模となった。今回のウイルス流行が始まってからは、役割の重要さはさらに増している。

 近ごろ、中国の大手ネット通販企業は、サプライチェーンの優位性を発揮し、物資の調達を行い、この特殊な時期に市場供給を確保する役割を果たしている。業界の統計によると、春節(Lunar New Year、旧正月)休暇以降、野菜の販売は前年同期比で9倍に増え、肉類は前年同期比7.5倍、ギョーザやパンなどの冷蔵・冷凍食品も前年同期比7倍を超した。

 このほか、動画、実況中継、オンライン教育などの産業の利用も大幅に増えており、春節期間中に、ほとんどの主流オンラインゲームのアクティブユーザー数は顕著な増加が見られた。

 2014年以来、中国の宅配業の業務量は連続6年、世界のトップを占めてきた。スマート宅配ボックスの普及も重要な役割を果たしている。2018年には35万か所で利用が始まり、今年はさらに80万か所まで増やすとされる。この施設は人と人の接触を効果的に減らし、ユーザーと配達員の健康を保てる。(c)東方新報/AFPBB News