【2月20日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)被告に対し、2016年大統領選前の民主党陣営のメール流出にロシアは関与していなかったと証言すれば恩赦を約束すると伝えていたことが、英ロンドンの裁判所で19日に明らかになった。

 英PA通信(Press Association)によると、トランプ氏が共和党のダナ・ローラバッカー(Dana Rohrabacher)元下院議員を通じてこうした申し出を行っていたことが、アサンジ被告の弁護人ジェニファー・ロビンソン(Jennifer Robinson)氏の文書で明らかになったという。

 これに対し米政府は、トランプ氏がロシア疑惑をめぐる支援の見返りに恩赦をちらつかせたことはないと即座に否定した。ロシア疑惑はトランプ氏の大統領1期目に暗い影を落としている。

 アサンジ被告は現在、米国でスパイ罪に問われており、米政府は同被告の身柄引き渡しを求めている。その当否について24日から正式に審理が行われることになっており、これに先立ちウェストミンスター治安判事裁判所(Westminster Magistrates' Court)で行われた手続きで今回の件が発覚した。

 アサンジ被告が米国で有罪になった場合、禁錮175年の刑が科される可能性がある。

 アサンジ被告の別の弁護人が引用したロビンソン氏の声明によると、同被告に会うことになっていたローラバッカー氏は、「もしアサンジ氏が、ロシアは民主党のメール流出に関与していないと証言するならば、大統領の支持により、恩赦か別の何らかの脱出方法を提案する」と話したという。

 米情報当局は、2016年大統領選でトランプ氏の対立候補だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)陣営に打撃を与えるために民主党全国委員会(DNC)のサーバーをハッキングしたのはロシアだと結論付けている。ウィキリークスがその後、ハッキングで流出したメールを公開したことで、クリントン氏は政治的なダメージを受けた。(c)AFP