【2月20日 Xinhua News】中国科学技術部生物センターの孫燕栄(Sun Yanrong)副主任は17日、国務院合同予防抑制メカニズムの記者会見で、抗マラリア薬の一種「リン酸クロロキン」が新型コロナウイルスによる肺炎の治療に一定の効果を発揮したことを確認したと述べた。専門家はリン酸クロロキンを早急に診療ガイドラインの新版に組み入れるべきとの認識で一致した。

 孫氏によると、北京市や広東省(Guagdong)、湖南省(Hunan)など複数の省にある十数カ所の病院が共同で、新型肺炎の治療に対するリン酸クロロキンの安全性と有効性の評価を実施し、臨床面で非常に明確な治療効果を示した。重症化率や解熱、肺野画像の好転時間、ウイルス核酸の陰性化に要する時間および陰性化率、疾患の経過短縮など一連の指標を系統的かつ総合的に研究・判断した結果、リン酸クロロキンを投与したグループは対照群よりも優れていることが明らかになった。安全性に関しては、投与した患者100人余りで薬剤に関連したはっきりした深刻な副作用は見つかっていない。

 これらの研究結果に基づき、科学技術部と国家衛生健康委員会、国家薬品監督管理局など科学研究グループの主要構成機関は、15日に共同で専門家会議を招集。専門家グループは最終的に「リン酸クロロキンは市場で長年使用されてきた薬であり、幅広い人々の治療に用いる場合も安全性のコントロールが可能と考える。初期の臨床機関が実施した研究結果に基づき、リン酸クロロキンが新型肺炎の治療に一定の効果をもつことは明らかだ」との見解で一致した。当面の臨床治療の切迫した需要に基づき、専門家は「早急にリン酸クロロキンを新版の診療ガイドラインに組み入れ、臨床試験の範囲を拡大すべきだ」と全会一致で推奨した。孫氏は「以前からある薬の新たに活用するという考えに期待している。70年間使われてきた薬が今回の新型肺炎との闘いで新たな素晴らしい効果を発揮することを願っている」と語った。

 16日までに計136件の新型肺炎に関する研究が臨床試験に投入され、中でもファビピラビル、リン酸クロロキン、レムデシビルの3種類の薬剤に注目が集まっている。ファビピラビルは既に国家薬品監督管理局から正式に発売を承認されている。

 リン酸クロロキンは長年市場に出回っている抗マラリア薬の一種で、公開情報によると、クロロキンはエンドソームのpHを変化させることができるため、ボルナ病ウイルスやトリ白血病ウイルス、ジカウイルスなど、エンドソーム経路を介して細胞に侵入するウイルス感染に対し、明らかな阻害作用を発揮する。(c)Xinhua News/AFPBB News