【2月19日 AFP】世界は気候変動と質の悪い食生活がもたらす健康リスクから子どもを守ることができておらず、全ての子どもが「差し迫った脅威」にさらされていると警鐘を鳴らす国連(UN)報告が18日、英医学誌ランセット(The Lancet)に発表された。

 世界保健機関(WHO)と国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)の委託を受けた児童期および青年期の健康に関する世界のトップ専門家40人以上がまとめた報告によると、二酸化炭素(CO2)排出や自然破壊、高カロリー加工食品の有害な影響から適切に次代を担う子どもたちを守れている国は一つとしてないという。

 富裕国による排出量が圧倒的な割合を占めるCO2排出は過剰で、「全ての子どもの未来を脅かして」おり、さらに致命的な熱波や熱帯病の拡散増加といったさらなる健康リスクを子どもたちに負わせることになると、専門家らは指摘している。

 報告書は、子どもたちが脂肪や砂糖を多く含んだ食品やアルコール飲料、たばこなどの有害な広告の脅威にもさらされていることを浮き彫りにした。

 さらに、子どもの生存、教育、栄養を指標に、世界180か国をランク付けした。下位3か国の中央アフリカ、チャド、ソマリアのような開発途上国は、上位3か国のノルウェー、韓国、オランダなどの富裕国と比較して非常に実績が低かった。日本は上位7位だった。

 しかし、人口一人当たりが排出するCO2による大気汚染の影響について見ると、ランキングは大きく逆転する。

 また低・中所得国の5歳未満の子ども約250万人が、低栄養状態をはじめとする貧困の影響で発育不良のリスクにさらされていた。同時に世界の肥満児の数は1975年から11倍に増加し、1億2400万人となっている。

 また一部の国では、子どもたちがテレビで目にするコマーシャルは年間3万本にも上っている。ある研究によると、オーストラリアでは業界の自主規制にもかかわらず、子どもたちがテレビでスポーツを観戦する際、アルコール飲料のCMに年間5100万回もさらされていた。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)グローバルヘルス研究所所長のアンソニー・コステロ(Anthony Costello)教授は、「業界規制は失敗している」と指摘する。

 さらに同教授は「子どもをターゲットとしたソーシャルメディア上の広告やアルゴリズムの急拡大についてほとんどデータがないことを考えると、現実はもっと悪いかもしれない」と述べた。(c)AFP/Patrick GALEY