■生き続けて母親の面倒をみたい

 リジア・カトゥン(Rijia Khatun)さんは15年前、採蜜に従事していた夫を亡くしたが、村人たちによる追放に対処することを学び、おいや親族から内密に支援を受けているという。

「息子たちは幼かったが、誰も助けてくれなかった。夫の死について責められ続けるので、初めは悪いと感じていた。だが私の過ちは一体何なのか分からなかった」とカトゥンさんは振り返り、「だけど今はこの逆境と共に生きていくことを学んだ」と語った。

 おいのアリさんはカトゥンさんを助けたかったが、表立ってはできなかったと説明。自分のおじらが何度も責めるところを目にしてきた。

「秘密裏に(カトゥンさんを助けて)やる必要があった。さもなくば自分たちも同様に村社会から追い出されただろう」とアリさんは打ち明けた。

 採蜜は伝統的に、この地方のもう一つの主要産業である漁業を始めるのに必要な、船などの商売道具を買う余裕がない村人たちにとって、より取り掛かりやすい職業とされている。

 だがトラに殺されること、そして残された妻たちに及ぶ影響への恐れから、違う職業を選ぶ男たちがどんどんと増えている。

 父親をトラに殺された21歳のある男性は、一家が代々採蜜に従事してきたにもかかわらず、現在漁師として働いている。

「母親は、父親が遭った憂き目を私に味わわせたくなかった。私も生き続け、母親の面倒をみたい。母親は父親の死後たくさん苦労し、ひどい扱いを十分に耐え忍んできたのだから」 (c)AFP/Sam JAHAN