【3月22日 AFP】西アフリカの乾燥地帯に位置するモーリタニア。この国の砂漠地方では、伝統的な狩猟を行う人々「ネマディ(Nemadi)」の生活様式が徐々に失われつつある。

 ネマディのコミュニティーは、わずか数百人程度。度重なる干ばつや狩猟機会の減少が、彼らの暮らしを圧迫している。

 ネマディの多くは、ダチョウや、オリックスとアンテロープ(共にレイヨウ)を狩りに砂漠を駆け巡る。

 AFPはこのほど、モーリタニア中央部の砂漠の集落ティシット(Tichitt)とアラタネ(Aratane)の間を5日間にわたり取材した。

 先導してくれたアフマドさん(57)、息子のアハメドさん、チェイさんは、チュニックのようなローブに身を包んでいた。ラクダを飼うため、伝統的な生活様式をやめたという。

 同国を大干ばつが襲った1970年代以降、伝統的な暮らしを諦めるネマディが増えている。狩猟採集だけで生計を立てる人はほとんどいない。

 遊牧民ネマディの野営地の一つ、Loudeyattでは、十数張りのテントに約50人が数匹のヤギと暮らしている。フランス語学校もあるが、わずかな物資しかない。ネマディは物質的な財産はほとんど所持しておらず、家畜の飼育も彼らの慣習にはないことだ。

 専門家らによると、ネマディはその貧しさからモーリタニア社会で疎外されている。しかし、アフマドさんのように今はラクダを飼っている人々もいる。ラクダは、昔からモーリタニアでは富の象徴とされている。(c)AFP/Amaury HAUCHARD