【2月19日 AFP】「デザイン」をすべての人がアクセスできるものにするための活動を続けるシネイド・バーク(Sinead Burke)さん(29)は、軟骨無形成症のある身長105センチのアイルランド人女性だ。

 バークさんは、ファッション業界で一目置かれている。ロンドン・ファッションウィーク(London Fashion Week)でもその存在感を示していた。「ヴィクトリア ベッカム(Victoria Beckham)」と「ロクサンダ(Roksanda)」のショーの最前列に座るバークさんの少し先には、ファッション界を牛耳るアナ・ウィンター(Anna Wintour)氏がいた。

 並み居るモデルや映画俳優、ポップスターらと同じく、バークさんの装いもゴージャスだった。「ヴィクトリア ベッカム」のショーでは、この元「スパイス・ガールズ(Spice Girls)」のメンバーがデザインしたカナリアイエローのブラウスに一輪の黒い花をあしらい、茶色のタイトスカートをはいていた。

 持っている高級ブランドの服はもちろんこれだけはない。「グッチ(Gucci)、プラダ(Prada)、ディオール(Dior)、バレンシアガ(Balenciaga)、ヴィクトリア ベッカム、クリストファー ケイン(Christopher Kane)、バーバリー(Burberry)の服を何着か」とバークさんはAFPに語った。

 ダブリンで学校の教師をしていたバークさんは、どうしてファッション誌ヴォーグ(Vogue)英国版の表紙を飾ることになったのか。

 始まりは、2017年3月の「TEDトーク(TED talks)」での「デザインがすべての人のためであるべき理由」というスピーチだった。著名人のスピーチ動画をインターネット上で無料公開するこのプロジェクトでバークさんは、トイレのドアの鍵の高さから、自分の足に合うサイズの靴まで、日常生活で直面するさまざまなデザインに関する問題を取り上げた。

 140万回視聴されたこの動画は、ある一定の変化をもたらすきっかけとなった。

「あのとき初めて世の中の人々はデザインとアクセシビリティー(利用しやすさ)について(の話に)耳を傾け、それまでとは違う視点でこの業界について考えるようになったのかもしれない。前には進めている」とバークさんは言う。