【2月18日 AFP】中央アジアに位置するキルギスの貿易・流通拠点に2億8000万ドル(約310億円)近くの資本投下を計画していた中国の投資事業体が17日、現地の抗議行動を受け、事業計画の中止を発表した。

 キルギス中部ナリン(Naryn)州アトバシ(At-Bashy)の山岳地帯では、両国の合弁事業による「キルギス・中国『アトバシ』経済自由区域(FEZ)」が計画されていた。しかし、地元住民らの反発を受け、同名の事業体は「凍結を決定せざるを得ない」と発表した。

 計画されていた流通拠点の建設は昨年、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席がキルギスを訪問した際に合意に至ったもの。小企業や工場を集めた特恵貿易地域とする構想で、開設時までに1万5000人の雇用を創出すると説明されていた。

 だがナリン州では、警察発表で1000人を超える住民が抗議デモに参加。地元メディアは、キルギス国旗を持って馬に乗った参加者や、『キルギスの土地を中国に渡さない』と書かれたプラカードを持った参加者の姿を伝えた。活動家の一人によるとデモ隊側は、3月1日までに事業計画を中止しなければ「本格的な対抗手段に出る」と当局に通告していた。

 匿名でAFPの取材に応じた政府関係者の一人は、建設予定地をめぐる契約について、貸与ではなく譲渡だというデマにデモ参加者らが惑わされていると語った。(c)AFP