【2月17日 AFP】(写真追加)伝統の水牛レースにかじ取り役として出場し新記録を打ち立て、インドのスポーツ当局に陸上競技のトライアルを受けるよう招待されていた男性が、招待を辞退していたことが分かった。

 建設作業員として働く28歳のスリニバス・ゴウダ(Srinivas Gowda)さんは、同国南部カルナタカ(Karnataka)州で行われた、毎年恒例の水牛レース「カンバラ(Kambala)」で、ぬかるみに設けられた142.50メートルのコースを水牛と共に13.62秒で駆け抜け、新記録を樹立。

 この記録は100メートルに換算すると9.55秒に相当するため、ジャマイカの元陸上選手である「世界最速の男」ウサイン・ボルト(Usain Bolt)氏の記録9.58秒が引き合いに出されるなど、鍛え抜かれた肉体を持つゴウダさんを称賛する声がソーシャルメディアで相次いだ。

 だがゴウダさんは、7月に東京五輪が控える中、ベンガルール(Bangalore)のインドスポーツ機関(SAI)でトライアウトを行いたいというインドのスポーツ相からの招待を丁重に断った。

 ゴウダさんは現地メディアに対し「SAIのトライアルは受けない。私はカンバラをもっと極めたい」と発言。

「カンバラとトラック競技は別物で、どちらかで良い成績を収めた人がもう一方では同じようにできない」「トラック競技で活躍した多くの選手がカンバラに挑戦したことがあるが、成功しなかった。カンバラでは、かかとで走るが、トラック競技ではつま先で走る」と説明した。

 カンバラでは、ぬかるみを疾走する2頭の水牛たちに装着したロープをかじ取り役が握り、水牛たちの後方を走る。

 ただ多くのネットユーザーらは、かじ取り役が水牛たちに引っ張られているとも指摘していた。

 ゴウダさんは「自分がこんなに有名になるとは夢にも思っていなかった。名声は私の水牛たちに向けられるべきだ」「水牛たちが私と協力してくれたからこそ、今回の記録を打ち立てることができた」と話した。(c)AFP