【2月17日 AFP】フランスの警察当局は16日、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の推薦で来月のパリ市長選に立候補していたバンジャマン・グリボー(Benjamin Griveaux)氏(42)の出馬撤回につながったわいせつ動画について、ロシア人アーティストとその交際相手の女を取り調べのため拘束した。

 拘束されたアーティストのピョートル・パブレンスキー(Pyotr Pavlensky)容疑者(35)はロシアで過激な抗議活動を行っていたことで知られ、2017年にフランスに亡命した。

 パブレンスキー容疑者は新年のパーティーで起きたいさかいに関与したとして15日に逮捕されていたが、警察は16日、今週インターネットに投稿された自慰行為をする男性の動画に注目した。

 動画はある女性に向けた際どいメッセージを伴っており、グリボー氏からのものとみられている。動画流出を受け、3人の子を持つグリボー氏は直ちに選挙活動を中止する事態となった。

 2018年に問題の動画を受け取ったとされるパブレンスキー容疑者の交際相手でフランス人のアレクサンドラ・デタッデオ(Alexandra de Taddeo)容疑者(29)も、プライバシーの侵害および同意なしに性的な内容の動画を公開した疑いで逮捕されている。

 パブレンスキー容疑者は14日、AFPの取材に応じ、グリボー氏の「偽善」を暴くために動画を投稿したと述べ、新たに立ち上げた「政界のポルノプラットフォーム」に動画をさらに投稿する意向を示した。

 またパブレンスキー容疑者はグリボー氏について、「常に家族愛を持ち出し、家族のための市長になりたいと話しては、自分の妻や子どもを繰り返し引き合いに出す人物だ」「だが、逆のことをしている」と日刊紙リベラシオン(Liberation)に述べている。

 フランスではこれまで、プライベートな問題だとして性的スキャンダルを政治家は意に介さなかった。フランスの幅広いメディアや政治家らは、グリボー氏を中傷キャンペーンの被害者だと表現している。(c)AFP/Mehdi CHERIFIA and Clare BYRNE