【2月17日 AFP】カンボジアに入港したクルーズ船「ウエステルダム(Westerdam)」から下船し、マレーシアに移動した米国人女性(83)が新型コロナウイルスに感染していたとマレーシア当局が明らかにし、波紋が広がっている。カンボジア側が下船の際、乗客全員に感染は確認されなかったとしていたためで、カンボジアはマレーシアに検査結果の再検討を要請したが、マレーシア当局は16日、診断結果は正確なものだと改めて主張した。

 ウエステルダムは船内に感染者がいる恐れがあるとして日本、米領グアム、フィリピン、台湾、タイから入港を拒否され、2週間近く海上をさまよったが、中国と緊密な関係にあるカンボジアは13日、同船の南部シアヌークビル(Sihanoukville)への入港を許可。寄港後には乗客らに対し、感染確認の検査を実施している。

 しかし15日、下船後に空路でマレーシアに移動した米国人女性がクアラルンプールの空港に到着した際に発熱が発覚し、マレーシア当局は女性のウイルス感染を確認したという。現在、ウエステルダムを下船したほかの人の中にも感染者がいるのではないかとの懸念が浮上している。

 カンボジア側は16日、米国人女性の感染についてマレーシア政府に「ダブルチェック」を要請。ただ、マレーシアのワンアジザ・ワンイスマイル(Wan Azizah Wan Ismail)副首相は、女性がすでに2度検査を受けていると説明し、結果が正しいものであるとの姿勢を崩していない。

 下船者をマレーシアへ移動させるため航空機4機がチャーターされていたが、143人を乗せた第一便から感染者が見つかったことを受け、ほかの便はキャンセルされた。

 ウエステルダムには現在も乗客200人以上、さらに乗員747人が残っているが、英国在住の女性乗客によると、感染者が判明し船内の雰囲気は「重苦しく」なっているという。女性は「陽性と判明した人がいたと分かり、乗客らは船の上で非常に不安な気持ちになっている」と語った。(c)AFP