■気温上昇と収穫高が比例

 北欧のワイン醸造家の大半は独学でワイン造りを学んだ素人だが、最近は海外から専門家を招き始めている。

 ソフラキス氏はより高品質のワインを製造するために、醸造責任者として31歳の中国人エノロジスト(ワイン専門家)を雇った。

 北欧の醸造所では主にソラリス(Solaris)という品種のブドウを使って白ワインを製造している。ソラリスはドイツの交配種で、スカンディナビア半島の寒冷な気候にも耐えられ短期間で成熟できる。

「(ソラリスは)病気にかかりにくいという意味でとても育てやすい。比較的丈夫だ」。デンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)教授で寒冷地帯でのブドウ栽培に詳しいトルベン・アンデルセン(Torben Andersen)氏はそう話す。

 厳しい気候条件でありながら、この地域のブドウ栽培は拡大している。スウェーデンブドウ生産者組合(Swedish Winegrowers' Association)幹部のスベネリック・スベンション(Sveneric Svensson)氏は、「(この傾向は)地球温暖化によるものではなく、気温が高くなくても成熟する新種のブドウのおかげだ」と話す。

 だが、地球温暖化はブドウの収穫高と関係している。例年にない夏の暑さに見舞われた2018年には、とりわけ収穫高が多かった。

 ブドウ栽培からワインの醸造までを手掛けるワインメーカーは、スウェーデンに約30社、南側の隣国デンマークには100社近くある。