【2月16日 AFP】 ドイツ東部テューリンゲン(Thuringia)州の州首相選挙で、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相率いる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)の候補が、極右政党の支持を受けて当選したことに対し州都エアフルト(Erfurt)で15日、抗議デモが行われ、約1万8000人が参加した。当選した候補は、州首相に就任した翌日の今月6日に、すでに辞任している。

 主催者によると、デモにはファシズムに反対する芸術家や労働組合員、非政府組織(NGO)のメンバーや政治家らが多数参加。ナチス・ドイツ(Nazi)が「第三帝国」と呼ばれたことになぞらえ「第四帝国は許さない」と書かれた横断幕を掲げたり、「ファシストは絶対相手にしない」とスローガンを叫んだりした。

 旧東ドイツに位置する同州では今月5日に行われた州首相選挙の決選投票で、移民排斥を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、国政の政権与党であるCDUが支持していた自由民主党(FDP)のトマス・ケメリヒ(Thomas Kemmerich)氏に票を集めた結果、同氏が当選。国政を揺るがす事態となった。

 ケメリヒ氏は就任からわずか24時間後、辞任することに同意したが、極右政党の支持を受けた州首相が誕生するのは、第2次世界大戦(World War II)後の1949年にドイツ連邦が発足して以来、初めてだった。

 デモの参加者らの間には、CDUが極右政党の支持を受け入れたことに対する根深い怒りがうかがえた。エアフルト在住のマリア・ロイター(Maria Reuter)さん(74)は、「AfDが東部で大きな影響力を持つようになっているので、デモに参加した」と述べ、「右派と極右の票が重なったことで、越えてはならない一線を越えてしまった」「こんなことがあってはならない」と語った。(c)AFP/Mathieu FOULKES