■ハネムーン中に離れ離れに

 前菜は「アボカドと小エビのキューピッド・サラダ」。続いて「バレンタインの和風エビ料理のライスと野菜添え」。メインはフランスの伝統料理「コック・オ・バン(鶏肉の赤ワイン煮込み)、マッシュポテトと野菜添え」。「本日のサプライズ・デザート」付きだった。

 乗客が孤立感や不安、退屈と闘っている一方で、乗員の一部からは、相席での食事や、相部屋での寝泊まりなどを含め、自分たちの環境を懸念する声も出ている。

 だが、バレンタインデーに新型コロナウイルスにより引き裂かれたカップルもいる。ハネムーンをこの船で過ごしていた1組がそうだ。

 ケント・フレジャー(Kent Frasure)さんは、パートナーのレベッカ(Rebecca)さんに、やむを得ず、しばしの別れを告げた。ウイルスに感染していることが確認されたレベッカさんは、病院に搬送されて隔離されている。

 フレジャーさんは米ニュース専門局CNBCのインタビューに応じ、こう話した。「僕らは、さよなら、また会おうねと言ってお互いを抱き締めた。別れのキスはしなかった。何がどうなるか分からなかったから」「彼女が廊下を歩いて行き、角を曲がるのを僕は見ていた。彼女は行ってしまった」

 14日の夜には、乗客らがバレンタインデーの贈り物の写真を次々にツイッターに投稿。チョコレート、マスク、赤いバラ1輪もあった。

 船長は船内放送で、「本日はバレンタインデーでございますが、これを受けてダイヤモンド・プリンセスにはたくさんの愛のメッセージが寄せられております。心温まる応援メッセージに励まされています」と呼び掛け、こう続けた。「ここで、あふれる愛をたたえる詩編の一部を読ませてください。『愛、それはすべてを乗り越え、すべてを受け入れる。それはすべてに希望を与え、すべてを耐え忍ぶ。愛は決して裏切らない』。すてきなバレンタインデーをお過ごしください」 (c)AFP/Sara HUSSEIN, Richard CARTER